坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、坐骨神経に沿って生じる、痛みやしびれといった症状の総称になります。

●坐骨神経について

坐骨神経は、脊柱の下部（腰椎）から出ている末梢神経です。
骨盤の後方、梨状筋の下からお尻に出たあと、太もも裏側へと走行します。
膝上のあたりで、すね・ふくらはぎの二手にわかれ、足の甲や足裏、指先までつながります。

坐骨神経には「下肢の感覚を脳に伝える役割（感覚神経）」と「脳からの指令を下肢の筋肉に伝える役割（運動神経）」がおもにあります。
長さは1m程度で、一番太い箇所では鉛筆の直径ほどある、最大・最長の末梢神経といわれています。

●坐骨神経痛の症状

坐骨神経が支配している「お尻〜太もも〜すね・ふくらはぎ〜足部・足趾」に生じる痛みやしびれ、違和感などが坐骨神経痛のおもな症状です。
症状の感じ方は「突っ張るように痛む」「ジンジンとしびれる」「冷感や灼熱感がある」などさまざまです。

上記の箇所のどこか一部に症状が出ることが多いですが、全体的に痛みやしびれが生じる方もいらっしゃいます。
また、運動機能が障害されると下肢に力が入りにくくなり、歩行障害をともなう場合もあります。

坐骨神経痛が生じるのは、おもに次の3つの原因が考えられています。

●腰椎椎間板ヘルニア

椎間板に亀裂が入り、中から髄核と呼ばれるやわらかい組織が飛び出した状態を「椎間板ヘルニア」といいます。
髄核によって坐骨神経が圧迫・刺激されることで、下肢の痛みやしびれにつながる場合があります。
若い方から中年の方に多く、重たいものを持ち運ぶ作業や長時間の座った姿勢（デスクワーク、車の運転）などがヘルニアのおもな原因に挙げられます。

●腰部脊柱管狭窄症

脊柱管が狭くなることで周辺の坐骨神経を圧迫・刺激した状態を「脊柱管狭窄症」といいます。
スポーツによる負荷で発生する場合もありますが、加齢にともなう椎間板や靭帯の変性がおもな原因に考えられています。
※当院では、脊柱管狭窄症と分けられないため、坐骨神経痛と言い切るのは避けています。

●梨状筋症候群

骨盤後方を横に走行する筋肉（梨状筋）が過度に緊張し、坐骨神経が圧迫されて神経痛が生じた状態を「梨状筋症候群」といいます。
スポーツによる使いすぎ（長距離のランニング、スイング動作の繰り返し）や、長時間の座った姿勢などで、梨状筋は緊張が強まっていきます。

坐骨神経痛を起こす病気としては、上記にもご紹介した「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」が有名です。
その他、がんや婦人科系の疾患（子宮筋腫・子宮内膜症）など骨盤内の病気により、坐骨神経が圧迫されている可能性もあります。
また糖尿病も、しびれを起こす原因に挙げられます。

原因により処置の方法が異なります。
下肢の痛みやしびれとともに体調の異変がある場合は、一度医療機関にいってみてください。

カウンセリングや各種検査で身体の状態を確認し、施術を進めていきます。

●ハイボルト

ハイボルトによって、坐骨神経を圧迫している筋肉の緊張をゆるめていきます。
高圧電気を流せるため、手技では届かない深部の緊張までほぐすことが可能です。
また、神経の興奮を抑制することで、痛みを鎮める効果もハイボルトには期待できます。

●鍼灸

経穴（けいけつ：いわゆるツボ）に鍼やお灸の刺激を加えることで、身体の調子を整えていく施術になります。
鍼灸には、痛みを鎮めたり、筋肉の緊張をゆるめたりする効果を期待できます。

●ゼロ整体

筋肉や骨格のバランスを整え、身体にかかる負担をゼロにすることを目的とした施術になります。
全身のバランスの崩れを解消することで、坐骨神経痛の再発を防止していきます。

●EMS

筋力トレーニングを目的とした電気施術になります。
表層のアウターマッスルから深層のインナーマッスルまで、幅広く鍛えられることが特徴です。
骨盤や背骨のゆがみを防止するために、腸腰筋や腹横筋といった体幹のインナーマッスルを重点的に鍛えていきます。

軽度の坐骨神経痛であれば、数度の施術でも痛みやしびれの緩和を実感できると思います。
症状を戻りにくくするため、身体のゆがみを解消したり、筋力を鍛えたりする施術を3か月（もしくはそれ以上）は継続していただくことを推奨しています。

しかし、患部の状態により、施術期間は異なります。
坐骨神経痛が気になる方は、お気軽に当院へご相談ください。

坐骨神経痛には、次のような対処法が有効といわれています。

●ストレッチ

・お尻のストレッチ

①椅子に座り、左太ももの上に右足の足首を乗せてください。（右の股関節が開いた状態です）
②そこから、背中を伸ばしたまま上体を前に倒していきます。

20秒ほど伸ばしたら、反対側も同様に行います。

・太もも裏側のストレッチ

①椅子に座った状態で、片側の膝を伸ばします。つま先は立てるようにしてください。
②背中を伸ばしたまま、つま先に向けて上体を前に倒していきます。

20秒ほど伸ばしたら、反対側も同様に行います。

●楽な姿勢、座り方

症状が出ない楽な姿勢や座り方を探してみましょう。
痛みやしびれがストレスとなり、神経痛が悪化する可能性があるためです。

特にソファーのようなやわらかい椅子はなるべく避けましょう。
お尻が沈んで、腰部やお尻の筋肉に負担をかけるといわれています。

坐骨神経痛を再発させないよう、継続して予防も行っておきましょう。

●身体を温める

疲れが溜まっているときは、ゆっくり湯船に浸かるようにしましょう。
身体を温め、血流を改善することで、末梢神経の機能も回復しやすくなります。

●筋肉を鍛える

腰椎への負担を軽減するため、腰やお尻まわりの筋肉を鍛えておきましょう。

・四つん這いになります
・右手と左足を地面と水平になる高さに上げます
・10秒ほどキープしたら反対側（左手・右足）も同様に上げてキープします

上記の要領で10回2〜3セットほど繰り返しましょう。

●股関節まわりのストレッチ

対処法でご紹介した、お尻や太もものストレッチは毎日の習慣にしておきましょう。
その他、足を前後に開いた状態で、重心を前方に移動させる股関節まわりのストレッチもおすすめです。
後方の足は膝をつくようにして、重心を移動させる際には背中が丸まらないように気をつけてください。

●ウォーキング

毎日20分以上、やや大股でウォーキングを行いましょう。
股関節や腰部の筋肉を動かせるほか、下半身の血行も促すことができます。