外反母趾

●外反母趾とは

外反母趾は、足の親指が外側（小指側）に向けて、くの字に曲がった状態を指します。
生まれつきの「内的要因」と、日常生活による「外的要因」がいろいろと重なることで、変形が生じると考えられています。

・内的要因

足の親指が人差し指よりも長い「エジプト型」の足をしていると、靴を履いた際に親指が圧迫されやすくなります。
その他、母親や祖母から外反母趾が遺伝する場合もあるといわれています。

・外的要因

後天的な要因としては、普段履いている靴の影響がおもに考えられています。

●扁平足とは

扁平足は、内側縦アーチ（土踏まず）の構造が崩れて、足の裏が平たくなった状態を指します。
生まれつき足の裏が平たい「先天性扁平足」もあれば、日常生活の影響で後天的に扁平足になる方もいらっしゃいます。

外反母趾・扁平足の具体的な原因や症状については、下記にて詳しくご紹介します。

●外反母趾の原因

・ハイヒール

つま先が細くなっている靴を履いていると、親指が圧迫されやすくなります。
また、かかとが高くなるほど重心が前側に偏るため、外反母趾になるリスクが高まります。

・関節リウマチの合併症

リウマチとは、免疫の異常で関節に痛みや腫れをともなう病気になります。
炎症から母趾の関節が破壊され、外反母趾につながるケースもよく見受けられます。

●外反母趾の症状

・関節の脱臼

変形が進行すると人差し指の下に母趾が入り込み、関節が外れてしまう場合があります。

・タコの形成

指の変形で靴と皮膚とがこすれ合い、タコが形成されるケースがあります。
外反母趾の場合、親指の内側や小指の付け根、足の裏（親指、人差し指あたり）にタコができやくなっています。

・バニオンの発生

変形にともない親指の内側が大きく突出していきます。
突出部と靴とが摩擦を起こし、関節に炎症が生じた状態を「バニオン」といいます。
タコやバニオンによる痛みで、歩行が困難になる場合もあります。

●偏平足の原因

・筋力の低下

アーチを支える筋肉（すねの骨から指にかけて付着する筋肉）が弱くなると、アーチが崩れやすくなります。
筋力が低下するのは、加齢や運動不足などの影響がおもに挙げられます。

・腱の変性

加齢にともない、アーチを保持する筋肉の腱が変性することで、扁平足につながる場合があります。

●扁平足の症状（招くケガ）

扁平足自体に何か問題があるわけではありません。
しかし、アーチによるクッション作用が弱くなるため、地面からの衝撃が足首や膝、股関節などに加わり、痛みを引き起こす可能性があります。
また、扁平足の方は、年齢を重ねた際に外反母趾を生じやすくなっています。

外反母趾・扁平足に似た症状がみられる病気や外傷には、次のものが挙げられます。

●痛風

尿酸が体内で結晶となり、関節に炎症を生じる病気になります。
外反母趾と同じように、足の親指の付け根に痛みや腫れをともなうケースがあります。

●母趾種子骨障害

足の裏、親指の付け根あたりに「種子骨」と呼ばれる小さな骨があります。
なんらかの原因でその種子骨に炎症を起こすことで、母趾の痛みや腫れにつながる場合があります。

●ターフ・トゥ

母趾の付け根にある靭帯を損傷したケガになります。
サッカーやラグビーなどスポーツによる発生が多くなっています。

原因によって対処法が異なるため、足の痛みが続く際は、整骨院や医療機関で状態を確認してもらいましょう。

カウンセリングや各種検査で患部の状態を確認し、施術を進めていきます。

●ハイボルト

高圧電気を患部に流していく施術です。
電気刺激によって神経の興奮を抑え、痛みを軽減していきます。
また、患部への血流を促すことで、組織の治癒力を高める効果も期待できます。

●鍼灸

鍼やお灸の熱によってツボを刺激していく施術です。
鍼灸には、鎮痛作用や筋肉の緊張をゆるめる作用を期待できます。
すねや足裏の緊張をほぐすことで、ゆがみの改善を目指します。

●運動療法

患者様自身にも身体を動かしてもらい、足の指の間や下腿部（膝下部分）の筋力を鍛えていきます。

●テーピング、装具

テーピングを貼ることでアーチを補助したり、親指の変形を抑えたりしていきます。
また、装具やインソールを使用する場合もあります。

●セルフケアのアドバイス

靴を選ぶ際のポイントや自身で行えるケアの方法などをアドバイスしています。

数度の施術でも、効果を実感していただけると思います。
症状が緩和したのちも、施術は2～3か月ほど継続することをおすすめしています。
筋力低下や身体のゆがみをそのままにしていると、症状が戻りやすくなっているためです。
また、進行性の症状になりますので、ご自身でもメンテナンスを続けていただく必要があります。

上記の期間はあくまでも目安です。
年齢や変形の状態により、施術期間は個人差があります。

基本的に関節の変形を元どおりに戻すことはできません。
外反母趾や扁平足が気になる方は、なるべく早めに整骨院のほうにご相談ください。

外反母趾、扁平足を改善するには、次のような対処が有効といわれています。

●外反母趾

・ハイヒールを避ける

親指が圧迫されますので、先の尖った靴はなるべく避けるようにしてください。
また、サイズが大きすぎる・小さすぎる靴も指への負担になるため、自身の足にあった靴を履くようにしてください。

・ストレッチ（体操）

輪っか状のゴムを両足の親指にかけます。
左右の足を開いていき、親指を内側に引っ張るようなストレッチを加えます。
ホフマン体操と呼ばれる、外反母趾に有効な体操になります。

●偏平足

・歩き方を見直す

すり足のような歩き方では足首がゆがみ、アーチが崩れやすくなります。
かかとから着地して小指側を通り、最後は母趾球でしっかり地面を蹴り出すように意識してください。

・グーパー運動を行う

足の指全体を曲げたり、伸ばしたりするグーパー運動で指の間の筋肉を動かしていきましょう。
また、足の指だけでタオルを手前にたぐり寄せる「タオルギャザー」も扁平足（外反母趾）の改善に有効とされています。

・自分の足に合う靴を履く

外反母趾と同様に、サイズのあった靴を選んで履くようにしましょう。
また、外反母趾や扁平足を防止できるサンダルも市販されています。

外反母趾・扁平足を予防するため、なるべく早い段階から次のような予防を行っておきましょう。

●インソール

インソールとは、靴の中に入れる中敷きのことです。
地面からの衝撃を吸収する役割とともに、アーチをサポートする目的でも使用されています。
個人で適したインソールは異なるため、一度当院にご相談ください。

●靴選び

外反母趾・扁平足を予防するには、ハイヒールはできるだけ履かないことがおすすめです。
もし仕事で履かないといけない場合は、対処法でご紹介したホフマン体操やグーパー運動などで、足の柔軟性を維持しておくようにしましょう。

●裸足で過ごす

自宅ではなるべく裸足で過ごしましょう。
裸足になることで、足裏から足趾にかけて筋肉が全体的に使いやすくなります。