腰痛

腰のまわりに痛みや不快感などが生じた状態を「腰痛」といいます。
一般的に腰部というと、背中の下（肋骨がなくなる箇所）からお尻までの領域をおもに指します。

●腰の役割

腰部には土台として身体を支え、姿勢を維持する役割があります。
また、腰の筋肉が働くことで下半身にエネルギーが伝わり、歩行をはじめとした日常動作が可能になっています。

●腰痛の原因（日常生活によるもの）

腰痛の多くは、原因がはっきりと分からない「非特異的腰痛」だといわれています。
非特異的腰痛では、レントゲンやMRIなどの検査で異常が特にみつかりません。
しかし、骨折や脱臼といった外傷がみられない点から、腰まわりの筋肉に疲労が溜まることが痛みにつながる原因だと考えられています。

日常生活において腰部に疲労が蓄積するのは、次のような要因が挙げられます。

・不良姿勢

通常、背骨は横からみるとS字のカーブを描いています。
頚椎（背骨の首部分）、腰椎が軽く前弯することで、首や腰にかかる負担を分散しているのです。

しかし、頭部が前に出た「猫背」や腰が強く反った「反り腰」の方は、背骨のS字カーブのバランスが崩れています。
それにより、背部から腰部の筋肉へのストレスが高まり、腰痛につながる場合があります。

・長時間の同じ姿勢

同じ姿勢が続くと筋肉が強くこわばり、血流の悪化を招いてしまいます。
特に座っている姿勢のほうが、立っているときよりも腰まわりの筋肉や関節への負担が増加するといわれています。

・オーバーユース（使いすぎ）

運動や重労働で身体を使いすぎることにより、腰部の筋肉に疲労を溜める場合があります。

●腰痛の原因（病気によるもの）

医療機関の検査で原因が特定できる「特異的腰痛」もあります。
特異的腰痛の原因としては、次のような脊柱の病気がおもに挙げられます。

・腰椎椎間板ヘルニア
・腰椎椎間関節症
・腰部脊柱管狭窄症
・脊柱分離症/すべり症

などです。
その他、狭心症や心筋梗塞、胆石、胆嚢炎、膵臓炎など、内臓の病気から腰痛が引き起こされているケースも中にはあります。

カウンセリングや各種検査で身体の状態を確認し、施術を進めていきます。

●鍼灸

全身の経穴（けいけつ：ツボと呼ばれる箇所）を鍼やお灸で刺激することにより、経絡（けいらく：血液やエネルギーが流れる経路）の状態を整えていく施術方法です。
鍼灸には痛みを鎮めたり、筋肉の緊張をやわらげたりする効果を期待できます。

●手技療法

手によるもみほぐしで、筋肉の緊張をゆるめていきます。
血行が促進されるため、腰部に溜まった疲労物質が体外に排出されやすくなります。

●骨格矯正

手技やストレッチで緊張をゆるめることにより、姿勢の改善を目指します。
トムソンベッド（矯正用のベッド）を用いて、骨格矯正を行う場合もあります。

●ゼロ整体

ゼロ整体とは筋肉や骨格のゆがみを解消し、身体にかかる負担をゼロにすることを目的とした施術です。
バランスの崩れを改善することで、腰痛の戻りを防止していきます。

●楽トレ

電気刺激によって筋肉を動かし、運動効果を発揮できる機器になります。
正しい姿勢を維持できるよう、骨盤周辺のインナーマッスルをおもに鍛えていきます。

数度の施術でも、効果を実感できると思います。
しかし、ゆがみや筋肉の硬さを残したままでは、すぐに症状が戻ってしまいます。
また、姿勢を支える筋力を鍛える必要もあるため、施術は3〜6か月ほど継続することをおすすめしています。

上記の期間はあくまでも目安です。
症状により異なりますので、まずは一度当院で状態を確認しましょう。

腰痛にお悩みの方は、次に挙げる対処法を試してみてください。

●安静、冷やす（急性腰痛）

ぎっくり腰のような激しい痛みがある際は、安静を心がけましょう。
無理に動かすと、状態を悪化させる可能性があります。

また、腰部に熱感があるときは、氷水で冷やすと痛みが落ち着く場合があります。

●温める（慢性腰痛）

慢性的な痛みであれば、蒸しタオルやホットパックなどを当てて温めましょう。
血流を促すことで、老廃物の排出が促されていきます。

●ストレッチ

・前屈して痛いとき

前屈みで痛む場合は、お尻や太もも裏（身体の後ろ側の筋肉）が硬くなっている傾向にあります。

椅子に座った状態で、片方の膝を伸ばします。
つま先を立てたまま、上半身を前に倒していくと、太もも裏側のストレッチが行えます。

・反って痛いとき

後屈で痛む場合は、太もも前側や腹部（身体の前側の筋肉）が硬くなっている傾向にあります。

足を前後に開いて立ちます。
後方の足は膝をつくようにしてください。
背中を伸ばしたまま、前側に重心を移動させると、骨盤前側の筋肉を伸ばせます。

上記のストレッチは左右バランスよく行いましょう。

腰痛が緩和しましたら、再発させないように予防もしっかりと行っておきましょう。

●正しい姿勢の維持

座っているとき、立っているときに関わらず、骨盤は立てるようにしてください。
骨盤が前後に倒れていると、猫背や反り腰の原因となります。

また、顎を引いて胸は軽く張るように意識しておきましょう。

●運動をする

腰部の血流を促すため、適度な運動（ウォーキング）を習慣にしましょう。
やや大股で歩くように意識すると、腰部や股関節まわりの柔軟性を高めることができます。

●体操

・マッケンジー体操

足を伸ばした状態で、うつ伏せになります。
そこから腕を使い、上半身を反らせる姿勢をとりましょう。

30秒〜1分5セットが目安です。
つらい場合は、肘を立てる形でも構いません。

・キャットアンドドッグ

四つん這いになります。
肩の真下に手を、股関節の真下に膝を置くようにしてください。
そこから「顔を上げて背中を反らせる動作」「へそを覗き込むようにして背中を丸める動作」を交互に繰り返しましょう。

10回2〜3セットが目安です。

●リュックの背負い方

リュックサックを使用する際は、ヒモの長さに気をつけましょう。
長すぎると姿勢が崩れ、猫背や反り腰の原因となってしまいます。