保険施術

日本には公的医療保険制度があり、病気やケガの治療を受けた際の費用の一部もしくは全額が公的医療保険によって補償されます。
この制度によって、負傷しても安心して医療機関や整骨院の施術を受けられるといえます。
整骨院における公的医療保険の扱いは、次のとおりです。

●整骨院における保険施術

整骨院では、公的医療保険を利用して施術を受けられます。
公的医療保険を利用して施術を受けることで、施術費用の負担が軽減されます。

整骨院で利用できる公的医療保険には健康保険や国民健康保険、共済組合、後期高齢者医療険があります。
また、「ひとり親医療助成」「子ども医療助成」「障がい者医療助成」などの公費負担医療を併用することも可能です。

しかし、全ての症状や施術で医療保険を利用できるわけではありません。
医療保険が適用される範囲は法律によって定められています。

整骨院で医療保険が適用される症状は、いつ・どこで・どうやって受傷したのか原因のわかる筋肉・腱・骨・関節の負傷（外傷）です。
捻挫・打撲・肉ばなれ・骨折・脱臼が対象になります。

一方で、受傷原因のわからない慢性の症状の場合は医療保険が適用されないため自由施術で対応します。
慢性的な肩こりや首のこり、腰痛などの症状は自由施術になります。

●保険施術と自由施術の違い

整骨院では、「保険施術」と「自由施術」の2種類があります。
それぞれの特徴は次のとおりです。

・保険施術

公的医療保険が適用される施術を指します。
健康保険証を窓口に提出し申請書へ署名を行うことで、施術費用の一部もしくは全額が健康保険や公費負担医療の負担になります。
そのため、患者様の窓口費用負担が軽減されるというメリットがあります。

ただし、適用される施術方法や症状の範囲は法律や規程で定められているため、保険適用の範囲内での対応になります。

・自由施術

公的医療保険が適用されない施術を指します。
そのため、施術の費用は全額患者様の負担になります。

しかし、保険適用の範囲外の症状にも対応できるため、幅広い症状に対して施術を行うことが可能です。
また、施術方法も患者様のご希望にあわせて行うことができます。

交通事故は突然起こるため、身体を守れずに負傷してしまうことが多いです。
交通事故で負傷してしまった場合には、自賠責保険を利用して施術を受けられます。

●自賠責保険とは

車やバイクを所有する際には、法律によって自賠責保険へ加入することが義務づけられています。
そのため、自賠責保険は「強制保険」とも呼ばれています。
もし自賠責保険へ加入しなければ懲役や罰金などの罰則を受けることになるため、加入していることが大半だといえます。

自賠責保険の制度の目的は、交通事故の被害者の救済です。
交通事故の被害者が負傷した場合、自賠責保険によってケガの回復までの費用が補償されます。

そして、自賠責保険は医療機関だけではなく整骨院でも利用することが可能です。
加害者の自賠責保険を利用して施術を受けるため、整骨院へ通院することを保険会社へ伝える必要があります。

●自賠責保険が適用されるケース

自賠責保険は交通事故により死傷させられてしまった際に加害者の加入している自賠責保険に請求できます。
そのため複数台が絡む交通事故で双方に負傷者が出た場合、お互いの自賠責保険を適用させることができます。

・信号待ちで後方車に追突されて負傷した
・一時停止をしなかった車に追突され、むちうちになった
・バイクの運転中に車に接触され、転倒して身体を強打した

こうした場合に自賠責保険を利用することができます。

・完全停車中の車にスピード違反して玉突き事故を起こし自分も負傷した
・歩道に乗り上げて歩行者と自分が負傷した
・駐車ミスで電信柱に突っ込む自損事故で負傷した

このように一歩的に加害者となる交通事故や自損事故を起こした当人の場合には施術を受けることは可能ですが、自賠責保険が適用されない、できないこともあります。

●任意保険について

任意保険は、車の使用者が自分の意思で加入するもので、必要な補償を組み合わせることができます。
交通事故の加害者の場合、ご自身の加入する任意保険を利用できる可能性があります。

また、整骨院で利用できる自賠責保険の損害の限度額は120万円と定められているため、限度額を超えるような場合には相手もしくは自身の加入する任意保険を利用が可能です。

通勤中や勤務中にケガをしてしまう可能性は誰にでもあります。
勤務に関係することで負傷した場合には、労災保険を利用できる可能性があります。

●労災保険とは

労災保険とは、労働者や労働者の家族を救済する目的の保険制度です。
従業員を1人以上雇用している事業主には労災保険の加入が義務づけられています。

そして、通勤や勤務中に業務に関することで負傷した場合には、回復するまでの費用が労災保険によって補償されます。
労災保険の利用は雇用形態に関係なく、一定条件を満たしていればパートタイムやアルバイトでも利用可能です。

●労災保険の適用ケース

労災保険の対象範囲は、「業務災害」と「通勤災害」の2種類があります。

・業務災害

業務時間内や、業務に関することで負傷した場合は「業務災害」に該当します。
業務災害に該当する具体的なケースは、次のとおりです。

・仕事中に機械が誤作動してしまい、負傷した
・取引先に向かう途中で事故に遭って捻挫した

しかし、業務時間内であっても業務に関係のないことで負傷すれば、業務災害が認められない可能性があります。
業務災害が認められない可能性があるのは、次のようなケースです。

・休憩時間中に私用で銀行に行こうとして転倒してしまった
・業務中に同僚とふざけていて捻挫してしまった

・通勤災害

出勤・退勤のルート上で負傷した場合は「通勤災害」に該当します。
通勤災害に該当する具体的なケースは、次のとおりです。

・出勤途中に会社の最寄り駅で階段から落ちてしまった
・仕事から自宅へ帰る道で交通事故に遭って負傷した

このように、通勤災害は自宅から会社までの通勤ルート上で負傷した場合に限られます。
次のようなケースでは通勤災害が認められない可能性があるので注意が必要です。

・仕事終わりに友人と食事に行き、お店で転倒して捻挫した
・仕事帰りにスーパーに寄り、その駐車場で事故に遭った